デザイン工芸学科Development of Fine Arts

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漆造形

漆造形
ものづくりの必然性を追究し、 創造性豊かな表現を目指す

現代の日本を作り上げてきた戦後の高度成長は豊かな国として世界にも認識されてきましたが、多くの利便性や合理性など価値観が経済に集中した結果、画一化も進行し、人びとの間で「心の豊かさ」が軽視され、さまざまな社会問題が生じています。漆造形分野では、9千年以上におよぶ人と漆の関わりや、漆の技芸を学ぶことで、自然との共生をコンセプトに、現在も受け継がれるさまざまな漆の表現技法は自己を覚醒させ、現代人が失いかけているさまざまな問題から、ものづくりの本質まで、多くのものを導き出してくれます。工房での3年間では学びきれない奥の深い世界ですが、ここでの経験を生かし、現代社会に「心の豊かさ」を呼び戻してくれる、そんな学生を育成します。

授業概要

2年次では、漆塗り基礎技術の修得として、多種多様な道具の仕立てや制作を始め、木地から漆呂色上げまで約40工程におよぶ本堅地を学びます。また、後期から蒔絵、螺鈿、彫漆等の加飾技法を修得します。
3年次は、素地造形を中心とした轆轤(ろくろ)、乾漆を修得。特に轆轤は地場産業でもある宮島轆轤の技術を基本に、刃物の鍛造からの徹底指導を行います。また漆との複合的な創作研究や漆の歴史と自己表現のあり方を見直す古典研究を経て、3年次最後に発表するテーマ制作に挑みます。
4年次は、学部の集大成として、個人の持つ感性を主に、素材、技術、知識、社会性など多角的な視点から研究内容を確立し、自由な造形表現の制作を行えるように指導しています。

卒業後の展望

作家、保存修復、デザイナー、写真家、映像作家、高等学校講師、専門学校講師など幅広い分野で活躍する多くの人材が生まれています。今後もより多くの分野において漆を学んだ学生が活躍することを望んでいます。

工房紹介

漆塗りができる専門の漆工房を設置しています。その他、木材加工や塗装専門の工房などもあり、学生は積極的に使用しています。特に木材加工室においては宮島式轆轤機械を設置し、木材の製材から鋼を鍛造した刃物制作、轆轤加工、漆塗りまでの一貫制作を実習に取り入れるなどの設備環境と指導方針は本学独自でもあります。また、広島漆の植栽や漆採取ができる実験林もあり、「自然」と「人」のつながりで生まれるものづくりの本質を体験しながら創作研究に生かす指導も行います。

教員一覧

漆造形

  教員名 専門分野
教授 大塚 智嗣 漆造形
准教授 青木 伸介 漆造形